JBL SA660 プリメインアンプの修理
SA660はJBL社のプリメインアンプですが、
このメインアンプ部はSA400と同等のエナタイザーアンプ(機器の中に入れるタイプ)で、
これに簡易プリをつけたものです。 |


■ 内部汚れがひどく、非常に状態が劣悪です。
喫茶店か調理場の近くで使用していた?と思えるほどです。
特殊液剤で内部洗浄致しました。
乾燥は自然乾燥で10日待ちます。

■ 交換部品を交換しました。
ダイオードや抵抗などは外す時点で劣化の為バラバラになりました。
■ 2電源の+−の電位差が大きく、
その原因はコンデンサーの容量低下(パンク)です。
これで「火を噴かなかった?」と思えるほどです。
コンデンサーは全て外し測定しましたが、
全部交換!の結論になりました。
電源部のコンデンサー(ほとんどパンク状態)を全部入れ替えになります。
プリアンプ部はコンデンサー30ヶ以上交換しました。




■ トランジスターは1個が劣化がありますが、
代替品が無いためにそのまま使用しました。
トランジスターの特性は素子の初期特性の90%であります。
■ このSA660はパワーの初段からオリジナル回路にしていますが、
僅かな電流ノイズが検知できます。
いろんな対策を講じて0.2mmvまでは残留ノイズを修正しています。
特に電源は新設しダイオード類は高速ダイオードに交換しました。
■ VR(バランス)はノイズが大きく、
分解−解体−修正−再度の組み立てで対応しました。

■ 45年前の回路/機種ですから改良すべき点が多くありますが、
オリジナルを変更しないように修理しました。
■ 電源電圧はAC100Vで必ず使用して下さい。
「24時間電源を入れっぱなしにしていましたが、大丈夫でしょうか?」とのお訊ねがありましたが、
これは切っていた方がいいです。
つまり当時のゲルマニウムトランジスターの特性の在庫はほとんど無いからです。
またAC117Vでは出力が65W+65W出ますが、
AC100Vでも50W+50W出ますので必要ないと考えます。
あくまで不必要な負荷を掛けるべきではございません。
必ずAC100Vを使用してください。
■ 電源SWのON時はパネル上部のTEST側で電源を入れ、
その後ノーマルにして下さい。
これは必ず実行をお願いします。
保護回路がない昔の機種はSPが飛びますから。
これは今のアンプではDC検出の保護回路(電源ONーOFF時のミュート回路)は常識ですが、
当時45年前はこのような考えはありませんでした。
理由はCDプレーヤーの様な広帯域/低歪みの信号入力器が無いからです。
回路的に「+ー電源」は使用されていますが、
電源ON時に僅かにDCバランスが崩れSPからボンと音がします。
TEST側は故意にSP回路を遮断/オープンにしショックノイズを発生させません。
■ このアンプのAUX入力は250mmvですが、
現在のCDプレーヤーは1000mmv-2000mmvあります。
故にVRをMinで絞っても音漏れはあります。
これはこの時代のアンプに共通の欠点です。
■ 入力ピンプラグは接触不良が多々見られ、かなりメスのRCAピンは緩い(ゆるい)です。
接触不良になっています。
当社ではカシメで対応し、全体のピンを修正していますが、
そのうち緩くなると思います。
その時点ですべて交換すべきです。
ただし交換するにしても高音質RCAピン(金メッキ)となりますので、
見かけもオリジナルと違います。
イメージの問題もありますから、
スイッチクラフト(スイス製)などの渋い色を選ぶべきかな、とも考えます。
ただし基盤裏取り付けの問題がありますので慎重に考えるべきです。
オリジナル製を大事にするための対策として、
0.1オーム以下にはアース対策をしていますが、
将来は全部交換が望ましいでしょう。
■ また図太い高音質ピンコードは接触不良を起こすため使用をしないで下さい。
図太い高音質ピンコードは一般的に値段が高いコードです。
RCAピンの規格は50年前です。以前はXLRキャノンばかりです。
当時と今では直径が昔が小さく0.05mm程です。
又内径は0.05mm程小さいです。
現在の高音質コードは中心軸が図太く古いSA660などのRCA+側を押し広げます。
ゆえに押し広げた為に+側が接触不良になります。
安い赤/黒の千円位のコードが、接触不良を起こさない為の一番の方策です。

■ 修理は完璧です。最高です。
パワーのみならば素晴らしい音がでます。
■ SA660は市場で¥40万くらいで売買されていますが、市場の¥40万はポンコツです。
今回は特別にしましたが、採算はホントに合いませんでした。
特にプリの内容が悪いのです。これだけで10日かかりました。
実際は25日以上掛かりました。大変でした。
これは宮城県のI氏のご好意で掲載しました。
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